【インタビュー】『アバター』から13年! 敏腕プロデューサーが明かす1500ページのメモ、3つの脚本チームの存在

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【インタビュー】『アバター』から13年! 敏腕プロデューサーが明かす1500ページのメモ、3つの脚本チームの存在

2009年に公開され、世界興行収入歴代1位(当時)を記録した『アバター』。あれから13年の時を経て、続編となる『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』がいよいよ公開を迎える。

前作で、その驚くべき映像技術により映画史に“革命”を起こしたジェームズ・キャメロン監督だが、今回はいったいどんな驚きを観客にもたらしてくれるのか? キャメロン監督を支えるプロデューサーとして活躍するジョン・ランドー氏に話を聞いた。

「家族」をテーマに「海の世界」を描く

――前作『アバター』は惑星パンドラの“森”を舞台に物語が進んでいきました。今回はタイトルにもあるように“水”が重要な要素となっており、海を舞台に、ジェイクとネイティリ、その子どもたちの“家族”の物語となっているそうですが、このストーリーはどのようなプロセスで作り上げていったのでしょうか?

私たちがストーリーについて考え始めたのは2012年以降のことでした。というのも、ジムはいろんな作品に取り掛かっていましたし、休む時間も必要でした。そして充電期間を経て、ジムから出てきたのが1,500ページにもおよぶストーリー、キャラクターに関するメモでした。

この時点で、続編はひとつの物語では終わらないなと思ったので、脚本家による3つのチームを組んで、脚本づくりに取り掛かりました。

脚本家を集めると、みんな、いろんなアイディアを持ってきてくれるのですが、私たちは「いまの時点ではキミたちのアイディアはいらない。第1作の『アバター』がなぜあんなに成功したのか? それがわかれば、その成功を続編で再現することができる。第1作を見直して、なぜあの作品があんなに成功したかを考えるように」と言いました。

そうして、彼らが提出してくれたレポートに目を通したんですが、彼らに1,500ページのジムによるメモを見せて「キミたちが考えてくれたことは、全てこのメモの中にある」と伝えました。

その後、脚本家たちとジムは、集まっていろんなアイディアを出し合い、脚本づくりを始めました。脚本家のなかには映画の脚本家だけでなく、小説家、それから「パンドラペディア(=惑星パンドラに関するWikipedia)」のライターもいました。

脚本家とジムが集まって5か月で4作分のストーリーができました。それから、それぞれのストーリーに脚本家を割り当てて、各脚本家がジムと一緒に物語の詳細を考えていきました。

それが執筆のプロセスです。

――“水”をテーマにするというアイディアはどの段階で生まれたのでしょう?

「海の世界」を舞台にし「家族」をテーマにすることは、もともとジムのメモにあったものです。自然の存在、そしてそれを大切に守っていこうということは、ジムにとっても私にとっても非常に大切なことです。1作目で「森」について人々の目を開かせました。今回は、なかなか目にすることのできない「水の中の世界」について、人々の目を開かせることができればと考えたんです。

――『アバター』と言えば、“青”が非常に印象的です。パンドラに住む人々の皮膚も青ですし、今回も海が舞台ということで、青を使った描写が多く出てきますが、それぞれ青の色味や濃さが異なります。

1作目のとき、当初は森林も全て青にしようと思ったんですけど、それでは観客の目にあまりにも“異物”として映りすぎてしまうんじゃないか? ということで、そこから少し色を引いて、リアルに近づけつつ、色をアクセント的に使っていました。

パンドラの森の人々は青い皮膚を持っていますが、今回の水の中にすんでいる人々の持つ青い皮膚はまた違う色です。

そしてもちろん、海の青も描かれています。ジャック=イヴ・クストー(海洋学者)をはじめ、いろいろな人々が海について書いていますが、ジェームズ・キャメロンも水の中で長い時間を過ごしてきて、海の中で見える色についてよく知っています。その体験をなるべくリアルに再現したいと思いました。深く潜れば潜るほど、太陽の光が届かなくなることで色がなくなっていきます。そういう部分も描きたいと思っていました。

進化する「映像表現」と変わらない「劇場での映画体験」

――インタビューに先立って行われた、特別映像を交えたプレゼンテーションでも「ぜひ映画館で体験してほしい」と強調されていました。2009年に第1作が公開された頃と比べ、スマホの普及、配信サービスの勃興など映画・映像コンテンツの視聴環境がガラリと変わりました。この変化をどう受け止めていますか?

「ニューヨーク・タイムズ」にこんな記事が出ました。「今日、我々が置かれているエンターテインメントの状況を鑑みるに、映画を家で見ることができるようになったことで、映画ビジネスは死ぬだろう」と。

ちなみにこれは1983年3月の記事です(笑)。同じことをいまも言えると思います。

私たちが取り組んでいることは非常にユニークなことです。配信サービスがあっていいと思いますし、そこから何かを奪おうとは思いません。モバイルで映画を鑑賞するということも同様に何の問題もありません。

だけども、劇場で映画を観るという体験は独特のものであり、永遠に存在し続けるものだと思います。

音楽ビジネスに置き換えて考えると、「劇場で映画を観る」というのは「ライヴに行く」というのと同じだと思います。ヘッドフォンで音楽を聴くこともできるけど、それはライヴに行くという体験にとって代わるものではありません。

「映画づくりには情熱の炎が必要。そのパッションがないならば、映画を作るべきではない」と語るランドー氏。世界的ヒットメーカーが十数年もの間、情熱を注ぎ込み、作り上げた『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』はどんな体験をもたらしてくれるのか? 楽しみに待ちたい。

[紹介元]【インタビュー】『アバター』から13年! 敏腕プロデューサーが明かす1500ページのメモ、3つの脚本チームの存在